講 義 内 容
1.講義科目
私(中村)は、教養科目の「人文科学入門」と、中学社会科免許・高校地歴科免許に関する科目の「日本史概説1・2」「日本歴史文化論」を担当しています。「人文科学入門」では、正倉院宝物を題材に、文化財に関わる様々な学問分野やその研究成果を紹介します。日本史概説は、「世界の中の日本」というテーマで、1で原始・古代を、2で中世・近世を取り上げます。「日本歴史文化論」は、前近代の様々な制度や文化などについて話をしていきます。
2.演習科目
学校カリキュラム開発専攻の専攻科目「歴史と社会」では、「小学校6年生を対象にした歴史教材の開発」を行います。授業では、受講生を2〜4人ずつのグループに分け、私が歴史教育上の重要テーマを各グループに与えます。各グループは、そのテーマを小学校6年生に教えるための教材を考え、授業で報告し、それに基づいて受講生全員で討論を行います。
日本史研究室の演習科目では、1年から3年までの間は主として史料読解の演習に、4年生は卒論の制作に取り組みます。1年生は、岩波新書などを中心とした日本史の基本著書を講読します。また、2年生は徳川実紀(前期)と続日本紀(後期)を、3年生は古記録(前期)と古文書(後期)を、それぞれ題材に演習を行います。ここでは、史料読解力をつけるとともに、様々な史料を使って複眼的に歴史を追究する方法を学びます。4年生になると、卒論制作に向けて、各自のテーマに関する研究論文の批判的講読や史料の釈読を行っていきます。
また、2年生以上を対象に、実習旅行を伴う「日本文化体験実習」を開講しています。行先は参加学生の希望により決めていますが、京都・奈良や鎌倉などになる場合が多いようです。
3.大学での「日本史学」について
日本史は、小学校以来くり返し学ぶ機会が多く、また小説やドラマ、マンガ、ゲームなどの素材に取り上げられることも多いので、比較的身近なものに感じられます。
しかし、大学での日本史の勉強は、高校までのものとは大きく異なります。歴史事実をたくさん憶えるのではなく、歴史事実がどうであったのかを探り、それがなぜ起こったのか? それがどのような意味を持っていたのか? それがどのような結果に結びついたのか? などといったことを考えていきます。そのためには、研究論文を批判的に読解し、歴史資料を正確に解釈した上で、過去の国家や社会、政治、経済、思想、文化などについて論理的に考えていくことが必要になります。
このように大学での「日本史学」は、自らテーマを決めて、自ら調べ、自ら考え、そしてそれを論文にまとめることを最終的な目的とします。そして実際の作業は、漢文や古文、くずし字などで書かれた史料を一つ一つ丁寧に読みこなし、それを整合的に考え、そして自らの意見を打ち出していくというものです。これはかなり地味な作業で、しかも難解で大量の書籍や史料を読みこなし、長い文章を書く必要があります。実際に勉強してみると、入学以前に思い描いていた勉学内容とはまるで違うことに驚くことでしょう。
日本史専攻を希望している人は、そのあたりのことをよく理解したうえで、研究室を選択してください。